第1話 序章

3/6
前へ
/17ページ
次へ
まぁ好きで入った学校なのだから、文句は言えまい。 “ガツッ” ぼんやりと夜空を眺めながら歩いていた俺の足に、何かが当たった。 「…?」 足元を見ると、灰色がかったビニール袋が落ちている。 何かに引かれるように、俺はそれを手に取り中身を引っ張り出した。 「…『騎士道物語』?なんじゃこりゃ??」 中身はゲームやDVDのディスクが収まるくらいの大きさで、薄めのケースだった。 そのパッケージには顔の描かれてない数人の騎士のイラストと『騎士道物語』という文字が描かれている。 「…ん?」 指先に感触を感じ、裏返してみたケースの裏側には小さなメモが貼り付けてあった。 “このゲームは拾った貴方に差し上げます。面白いので是非ともプレイしてみて下さい。” まるで拾われることを予見していたかのような文脈に、俺は微妙な恐怖感を感じた。 しかしその意志とは相反し、俺の手はそのケースを袋へと戻し先ほどまで持っていたビニール袋へと入れていた。 「ただいま、っと。」 (誰もいねぇけど…) 実家にいた頃の癖がまだ抜けず、家…今は『自室』だが… とにかく、帰ると『ただいま』と言ってしまうのだ。 どうでもいいな、うん。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加