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まぁ好きで入った学校なのだから、文句は言えまい。
“ガツッ”
ぼんやりと夜空を眺めながら歩いていた俺の足に、何かが当たった。
「…?」
足元を見ると、灰色がかったビニール袋が落ちている。
何かに引かれるように、俺はそれを手に取り中身を引っ張り出した。
「…『騎士道物語』?なんじゃこりゃ??」
中身はゲームやDVDのディスクが収まるくらいの大きさで、薄めのケースだった。
そのパッケージには顔の描かれてない数人の騎士のイラストと『騎士道物語』という文字が描かれている。
「…ん?」
指先に感触を感じ、裏返してみたケースの裏側には小さなメモが貼り付けてあった。
“このゲームは拾った貴方に差し上げます。面白いので是非ともプレイしてみて下さい。”
まるで拾われることを予見していたかのような文脈に、俺は微妙な恐怖感を感じた。
しかしその意志とは相反し、俺の手はそのケースを袋へと戻し先ほどまで持っていたビニール袋へと入れていた。
「ただいま、っと。」
(誰もいねぇけど…)
実家にいた頃の癖がまだ抜けず、家…今は『自室』だが…
とにかく、帰ると『ただいま』と言ってしまうのだ。
どうでもいいな、うん。
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