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「俺にはやっと見つけた、お姫さまがいてね…」
大地はそのお姫さまの思いと、告白までの経緯を話してくれた。
「だから、本当にごめんね」
弥生は自分と、似たような境遇の大地にすっかり親近感を覚え、大地を許してあげることにした。
「私もね、王子様を探してて…」
そして、出会ったばかりの大地に色々、これまでのこととか、身ぶり手振りに楽しそうに話した。
「毎年ね、8月の花火大会は必ず誰かと行くんだけど、今年こそは彼氏と行く予定なの。楽しみだなぁ」
「…」
観覧車がもうすぐ地上につくころ、さっきまで楽しそうに話し
ていた大地が、急に黙り込む。
「どうしたの?」
「…やっぱり」
「ん?」
「俺、あなたのことが好きです」
超真面目な顔で大地が言う。
「待って、ワケわかんないよ、お姫さまは?っていうかなんで」
「俺もわかんない。でも好きだ」
どんどん大地は迫ってくる。そしてまた襲われそうになった。
「ふざけるな、バカヤロウ!」
弥生はそういって抵抗する。
ちょうど観覧車の扉が開き、弥生は大地を突き飛ばす。
そして全力疾走で走り去った。
「弥生ちゃん…」
残された大地は、その後ろ姿を見つめていた。
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