殺人仙人掌

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「ロザリオさん!ロザリオさん!」 パタパタと軽い音と共に、背後から聞き慣れた声。 カクテスだ。 「カクテス……お前今本番中じゃないのか?」 「んー、バックダンサーの皆が調子悪くなっちゃってさ…直るまで休憩になっちゃったの」 ファンの子も残念がってたよ、とつまらなそうに口をとがらす。 どこからどう見ても、人間だ。 濃い緑が特徴的な髪、 大きめの目、 ころころ変わる表情。 顔一つ取ったって、まだ幼さを残す17歳男子と言われても違和感が無いくらいだ。 「ロザリオさん?どうかしましたか?」 「ん、ああ、何でも……」 本当に、誰が造ったのか。 製造番号から検索してみた事もあったが、それと思われるデータは全て抹消されていた。 まるで、記憶からわざと離れさせるように…… 「2409年製造、か……」 手掛かりは年代のみ。 しかし2409年と言えば、第三次世界大戦真っ只中だ。 世界大戦。 戦争……。
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