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「入学式…う~ん…?」
―覚えてないのか?…ショックだ…
「ごめんなさい、今かなり眠いせい。思い出せないけど、あなたみたいにかっこいいなら、忘れないと思うんだけど」
ショックだが、今の葵衣の言葉で、少し元気になれた自分に情けなくもなる。
―かなりハマってるみたいだ
「彼氏と別れて、俺にしなよ」
自分でも驚いた。言葉は想いをしっかり表していたが、こんな直球勝負は今までにない。
葵衣はまた微笑む。眠いせいだろう、目はトロンとし始めてきた。
―これも作り笑いか…?
「う~ん…彼氏がさぁ…年上でね、なんだか…甘えられないっていうか…」
酔っぱらいのような口調で答える。
―彼氏のことより、俺の勝負はどうなんだ!!
…でも…かわいい…
俺のハラハラした表情は隠せない。葵衣は気づいていない。俺の手の中のクレープは、くてっと形を崩し始めており、俺の気持ちを表しているみたいだ。
「あ、ごめんなさい。初対面の人に、こんな話…」
―だから初対面じゃないって!
俺は言葉をなくしたまま、葵衣の反応を見ていた。
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