718人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありゃ~、今夜は飲みに付き合ってやってもいいぜ?少年のおごりで」
小出がにやにやしているのは見なくてもわかった。
「行くぞ」
立ち上がった俺に、気後れしながら小出も立ち上がる。反応の速さに驚いたようだ。
―なんだか納得できねぇ…。彼氏がいる、それだけで諦めればいいのかもしれないが、このもやもやとしたものは一体なんなんだ!
でもかわいかった。あんな風に思って話せたのは葵衣だけだ。
「どうして寝ちまうんだ!!」
ジョッキグラスをテーブルに勢いよく置く。
小出が周りを見渡しながら
「おい。何があったか、わかんないけど…落ち着け?」
小出は外見はチャラチャラしているが、かなり面倒見がいい。人見知りしない性格もあり、サークルに入っていないにも関わらず、友達はかなり多い。こうやって俺に付き合ってくれているのも、小出の性格のよさからだ。
―その小出を通して、言い寄ってきた人たちと付き合ってきた(?)んだが、本気になれないことと長続きしないせいで、あまり覚えていないんだが…
「すまん、小出」
その日は朝方近くまで飲んだ。小出は黙って俺に付き合ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!