依頼

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一緒に住む、といっても、俺はほとんどバイトだった為、一緒にいる時間は少なかった。 ただ時間が許す限り、香奈の大学に迎えに行ったりデートに行くようにした。 香奈と過ごしていると俺の気分も晴れたし、一緒に歩いていると香奈に振り向く人の多さに驚き、そして優越感にも浸れた。 前の彼氏の気持ちがわからなくもないと思い始め、どうして別れたのか気になった。 ―そこはあえて聞かずにいたけど そして事件は起こった。 ある日、香奈と歩いてスーパーに買い物に行こうとしていた時だった。 「香奈!そんな奴と浮気してんのか…?そんな…そんなかっこいい奴と…!」 俺たちの前に出てきた男は、手に果物ナイフくらいの小さなナイフを持っていた。 「秀(ヒデ)!やめて、そんなこと!」 「前の彼氏?!おいおい、そんな危ないもん持つなよ!」 周囲から悲鳴が聞こえる。咄嗟にだが、俺は香奈を守るように前に出た。 後ろから香奈は 「お願い、もう私に付きまとわないで」 「付きまとわないでって、まだ別れてないだろ?そっちもそっちだ、何が前の彼氏?だよ!今も香奈の彼氏は俺なんだよ!」 ―おいおい、かなりの修羅場だよ…。誰か警察呼んでくれ…
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