依頼

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変な汗がでてきていた俺は、この状況を打破する何かを考えていた。 そのうち、秀という男は、その場に座り込んだ。 「そんなひどい言い方すんなよ…。だってまだちゃんと話してないじゃないか…」 ―……?! 「おい…話してないって…」 俺が言いかけたその時 「警察だ!ナイフを捨てろ!」 警官が2人近くに来ていた。誰かが通報したんだろう。 秀は崩れるようにナイフを離し、その瞬間警官が彼を押さえた。 事情聴取があるということで俺たちも警察に向かった。 「…本当にちゃんと話し合って別れた?」 俺は小さくなって隣に座る香奈に聞いた。香奈は俺の言葉にびくっと身体を動かした。 「秀は浮気してると思ったの…私、耐えきれなくて…もう会えないって言ったの…」 「それから…?」 「着信拒否したし…メルアドも変えた…自宅の鍵も変えて…」 「ちゃんと話してないんだね?」 その言葉に香奈の小さな手が震え始める。 「まさか…っ。こんなことに…なるなんて…!」 涙声になりながら言う香奈は、気づいたのだろうと思い、俺はそれ以上話さなかった。 警察には全部話して2人で帰った。
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