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「お疲れ様です」
コンビニまでが遠く感じた。今日のシフトは21時までだから…あと5時間。
「おい、顔色悪いぞ」
「店長。ちょっと風邪ひいたみたいです。でも大丈夫っす」
今の時間、こっちの店に店長がいることは珍しかった。店長はもう1つ店を持っていて、いつも夕方からはそっちに行っていた。
「無理すんなよ」
「はい」
店長に頭を軽くさげ、更衣室に入る。
―あぁ~。大丈夫って言ったけど、結構きてるかも。
軽くため息をついた。気持ちも滅入り始め、ごほごほと咳き込む。
その時、更衣室のドアの向こうから店長の声が聞こえる。振り向き、ドアのぶに手をかけようとした。
ごんっ
―…ってぇ…
俺の顔にドアが当たる。店長が慌てて何かを話している。
―声が…遠い…
ダメだ…立ってらんね…
ばたっ
目を開けると、天井と点滴が見える。頭の下がひんやりして気持ちがいい。
―ここは…病院?
相変わらず咳は止まらず、咳き込んでいると、遠くから店長の声が聞こえてくる。
見える範囲では…隣に誰も寝ていないベッドがある。
「お、気がついたか?肺炎だそうだ。少し休め」
店長が視界に入る。一緒に看護師さんらしき白衣を着た人もいた。
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