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―泣いている…?
…葵衣…?!
すぐにでも車のところへ行きたかった。だが今はバイト中だ。
―あぁ…どうしようもない…
挙動不審になっている俺を見て、店長は具合が悪いのか、と聞いてきたが、すぐに否定した。というより、あまり耳に入ってなかった。
―どうしたんだ、一体…
運転席から一向に動こうとしない葵衣が心配で、たまらなかった。
俺があまりにも車の方を見ていた為、店長は
「長く止まってんなぁ…寝てんのか?もう少ししたらお前見に行って来い」
怪しんでいた。俺は頷いた。今すぐにでも、見に行きたかったが。
接客をしていると、客が入ってくる音がした。
「いらっしゃいま…せ」
出入口に目を向けると、入ってきたのは葵衣だった。お腹に手を当てている。
―具合が悪いのか…?ていうか、かなり泣いた顔してる…
ペットボトルのお茶を1本だけ持って、俺が立つレジに来た。
心臓はバクバクしていた。
俺は…意を決して声をかけた。
…だが、葵衣の反応に俺はひどく落胆した。
―覚えられてない!!
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