再会

7/7
717人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
後部座席にはボストンバックが見えた。 「旅行行くの?体調悪そうなのに」 俺の言葉に、葵衣は驚いていた。 ―薬飲むくらいだ。なぜそんなに驚く…?言った内容がヤバかったのか? 葵衣は頷く。随分駐車場から動いていないのを考えると、誰とも待ち合わせしていないことに察しがつく。ついそのことを言うと、葵衣はまた泣きそうな顔になり、お腹を押さえている。 ―やべ、地雷踏んだ?!とにかく…ここから動かなきゃ店長にバレバレだよ 運転を変わると伝えると、素直に葵衣は運転席を譲った。 ―こんなに近くに葵衣がいる… でもさっきから押さえているお腹は…痛いのか? 長い間、泣いていたみたいだが…彼氏と何かあったのか? 聞きたいことは、山ほどあった。でも今は葵衣との時間が貴重で、壊したくない気持ちもあった。 1人の旅なら、俺が同行するわけにはいかないだろうか。そんな思いを巡らせていると、知らず知らず自分の部屋への帰り道を走っていた。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!