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俺は何も言わないまま進んでいた。葵衣が
「どこに行ってるの?」
と聞いてくる。目の赤みがようやくとれてきていた。手もお腹から離れているのを見ると、痛みはないようだ。
葵衣に何も伝えずに走っていたことに気付き
「う~んと、とりあえず俺んチに行ってる」
「はぃ?なんで?」
―言ってしまった…あまりに強引だったか…?
緊張もあり、ペラペラと、旅行に一緒に行く理由になりそうな内容を話す。
葵衣は、俺の部屋に向かっている理由を理解してくれたようだった。
―それって一緒に行ってもいいってことか…?
明日からのバイトは休んででも行きたい…!
「一緒に行ったら…ダメ?」
車はもう俺の部屋の前に止まっていた。改めて葵衣に聞く。
―あとは葵衣の返事を待つだけだ
すると葵衣は不機嫌そうに、旅行先も決まっていないと言い始めた。
―もうこんな暗くなっているのに、まだ決めてなかったのか…
あ、田辺(タナベ)んチに行こう!
俺は1人、妄想に入っていたが、葵衣はやはりどこか不機嫌な様子。
―どうしよう…
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