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学内から出るまでに
「あ、カップルで大学か~、一緒にうちのサークル入ろうよ、楽しいよ」
「仲良いね~、男女関係なく入れるサークルだから1回見ていかない?」
声をかけてくる人たちは様々だった。彼女は勧誘は嫌だ、と言っていたが、話しかけてくる連中たちに、軽く会釈し微笑む。
―律儀なのか?俺とカップルとか言われて、悪い気分はしないのか?
俺は不思議でたまらず、彼女の動きひとつ見逃さないほどに見つめていた。
なんとか勧誘を振り切った時には大学から結構離れた場所まで来ていた。
「しかし、ひつこいな」
「疲れたね~!私、つい作り笑いしちゃうの。だから相手からOKだと思われることも多くて」
―なるほど
「助かった…。私、大鳥 葵衣(オオトリ アオイ)。またどこかで会った時はよろしくね」
そう言った彼女は、手を振りながら走って立ち去った。
―俺の、名前聞かないのかよ…。でも…憎めないかな
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