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――
「病気?私、ついていけないよ…やっぱり前の彼氏が好きなの」
「葵衣…頼む、俺の話を聞いてくれ!」
葵衣が車から出ていこうとする。
「葵衣!葵衣!……!」
――
はぁはぁはぁ
―ゆ、夢?!
俺の手を握り、心配そうに見つめる葵衣。
「ごめん、夢みてた…」
―夢なのに、妙にリアルだ…
具合が悪くないのか、と心配をまでしてくれている葵衣の存在を確かめたくて、葵衣の手を引っ張る。俺の腕の中に、おさまるほど小さい葵衣は
「ここにいるよ」
そう言ってくれた。抵抗もしない葵衣の鼓動が伝わる。
―あぁ、葵衣…
俺は勘違いしてしまうじゃないか
何もしない、と一応話していた為、とりあえず葵衣を離す。本当はまだ抱き締めていたかったが、もう田辺のペンションに着いていた。
―見つかったら、なんか恥ずかしいし…
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