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「迷惑かもしれない、せめて旅行の間だけでも俺のわがままを…」
葵衣は、俺の気持ちは嬉しいと言った。酔いのせいもあるだろうが、葵衣の頬はピンク色で、俺の心臓は動きを速めた。
「葵衣って呼んでいい?」
―もうすでに俺の中では、かなり前から呼んでるけど…
葵衣はまだ頬をピンクにしたまま、すでに呼ばれてると言う。
―夢から起きた時か
すぐOKがもらえなかった為、逆に俺の名前を呼んでほしいと頼むと、葵衣は笑ってOKしてくれた。
―そぅ、その笑顔…
たくさん呼んで、俺も呼びたい…そのピンク色した頬を包みたい
キスしたい…
「真介…」
「もっと呼んで」
「真介」
葵衣に何度も呼ばせた後、俺はある決意に至った。
「葵衣」
「はぁい」
俺を見てくれなかったけど、横顔は笑っていた。
「葵衣が今抱えているものを、俺も一緒に持つことはできないか?」
俺が何を意味して話しているのか、葵衣が気づくかわからなかったし、拒絶する可能性は十分あった。
葵衣は、俺の病気を心配して言おうとしなかった。
―やっぱり…言いにくいことだよな
たまらず、葵衣の右手の上に手を重ねた。
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