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「…こんな気持ちのままじゃスッキリできない」
あぐらをかいたまま、顔を下にむける。
入学式以来、会ってないのだ。4年になるまで一度もない。
―タイミングが悪いのか、ただ俺がバイトばかりしているせいか
高校の時、両親を交通事故で亡くした。部活の試合中だった為、俺に伝わるのが遅くなり、最期に間に合わなかった。それから…部活も病院も嫌いになった。
学費は自分で稼いだ。両親の残したお金と保険金は、入学の時に一度使った。それ以来手をつけずに、自分で働いて学費や生活費をバイトだけで賄っていた。
「明日…勝負だ」
明日、大学最後の学祭だ。会える絶好のチャンスは明日だ。
大学に入ってからできた友達、小出(コイデ)にメールをうち始める。
【お前、大学に知り合い多かったよな?】
―明日会えればいい…。会って自分自身の気持ちを確かめたい
【まぁ多い方だろうけど、どうした?】
すぐに小出から返事がくる。迷わず俺もすぐ理由を返した。
【探してる人がいる。明日力を貸してくれ】
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