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入学式も終わり、
新入生は
張り出されているクラス分け表の前に群がっていた。
歩:
「皇志!!」
廊下で皇志を呼び止める1人の男子生徒。
茶色味が強いサラサラの髪に、
白い肌,クリクリした真っ黒な瞳、
まだ少年のような愛らしさがある。
【草川 歩(クサカワ アユム)】
身長,168センチ
ポジション, ???
《皇志と同じ総光中学出身。
体が弱く、初めはリハビリ程度に野球を始めたが、
あっという間に野球の魅力にとりつかれた。
しかし、
中学野球の3年間を補欠として過ごす。》
皇志:
「ぉ♪
歩っ。さがしたよ♪」
歩:
「ごめん、ごめん!!
それよりクラス分け表見たか??」
皇志:
「まだだよ~。
人がたくさんいるからなかなか前に行けないや。」
歩:
「たしかに人は多いな!!
俺見てきたぜ。
2人とも1組っ!!!
同じクラスだ!!!」
皇志:
「ほんと!?
よかったな!!!
入学早々ついてるぜ♪」
同じクラスということに喜ぶ皇志と歩。
歩:
「よし!!
とりあえず教室行こ♪」
皇志:
「そうだな♪」
2人は教室へと移動した。
( ガラガラ… )
教室のドアを開けると、既にたくさんの生徒が席についている。
歩:
「え~っと。
あった♪
俺の席ここだ。」
皇志:
「俺はここ♪」
2人も席に着く。
再び教室のドアが開く。
( ガラガラ… )
教室に入って来たのは、
適当に巻いたネクタイ、
無精ひげに短髪の黒髪をツンツンさせた、
30代前後の教師。
教室は静まり返っている。
教師がいかにもやる気なさげに話を始める。
担任・勝谷:
「ぇ―…、
みなさんの担任になりました、
勝谷 誠(カツヤ マコト)です。
よろしく。」
黒板に大きく名前を書き、
名前だけの自己紹介が終わった。
皇志:
(適当な人だな-。
ん? )
皇志の視界に
1人の男が写った。
入学式にも関わらず、
髪は金髪に近い、
制服の着方も他とは違う。
輝くピアスに、
学ランの下に着た赤いシャツ。
かなりの男前だが、
何か近寄り難い空気をまとっているその男に、
皇志は目が止まった。
皇志:
「あの人…、
どっかで…。」
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