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HRも終わる頃教室のドアが開いた。
「すんませーん、遅刻しましたー」
「藤咲、またか…いい加減にしないと出席足りなくなるぞ~?」
「やー、子犬が川に落ちてまして」
「その割にはどこも濡れてないが?」
外ハネの赤茶髪を掻き上げテキトーな言い訳してるこいつは藤咲優。
どーせ寝坊か女口説いてたかどっちかだろ。
「光ちゃん、アッキーはよー、今日も可愛いねぇ」
「優、おはー」
「誰が可愛いって…?」
ウザイやつが来た。
というか「ちゃん」付けするなって何度言えば…
「優、そろそろ本気で出席やばくね?」
「おー真、今日も地味だなぁ」
「ほっとけ」
俺の後ろの席に座った優は隣に見慣れない顔があることに気付いた。
「あれ?なんか見たことない美人さんがいる」
「…は?」
優の言葉に本気で?マークを浮かべている転校生。
まあ、当然っちゃ当然だけど。
「優、この前教えたじゃん!俺ん家の隣の!」
「あぁ、アッキーのお気に入りの…」
「余計なこと言わなくていい!」
優の言葉に少し焦りながら言い返す暁を見て、なんだか…悔しいような寂しいような気持ちになった。
なあ、暁…お前はそいつがいいの?
ついこの間までは光、光って俺に懐いてたくせに…
俺はもう、お前には必要ない?
その時とにかく暁に気が向いていた俺は、俺が暁を見るのと同じような目で真が俺を見ていることには全く気付いていなかった。
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