近すぎて、届かない

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  「あーもー、あの転校生マジでムカつくっ!」   「別にいいじゃん、暁が気に入って寄ってってるだけで、あいつは何とも思ってないんだろ?」   「だ、か、ら!余計ムカつくんだよ!!」     ガンッと音を立てて空になった炭酸ジュースの缶をごみ箱に投げ付けた光は、朝からずーっと、そりゃあもう俺ですら嫌になるくらいご機嫌斜めだった。 それは昼休みになった今でも絶好調に継続中。   原因はもちろん、朝の転校生。   たいした衝突はなかったものの、何かと転校生を気にかける暁に光は常にいらいらしてて。 同じ空間にいては何をするかわからないので俺達がたまり場にしている空き教室に連れて来たというわけだ。   そして現在、俺は光の八つ当たりを受けている…     「てか真!テメーなんで暁連れて来なかったんだよ!」   「え、ちょっ、待って!そこは俺の管轄外でしょ!?」   「そんなん知るか!お前は黙って俺の言うこと聞いてればいいんだよ!!」     …流石は俺様光様。 今日も素敵なくらい理不尽です。 そして、そんな幼なじみに逆らえない俺…     情けないのは自分が一番わかってるんだけどさ。
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