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「なんだぁ…男の子かぁ」
女の子ならお近づきになろうと思ってたんだけど、なんてふざけ半分で言ったら不機嫌そうに睨まれた。
「悪かったな、男で」
別に悪いなんて言ってないんだけど、なんだかその言い方が気にいらなくてホースのコックを捻る。
ビシャッと音を立てて勢いよく噴き出た水で、当然目の前の彼はびしょ濡れに。
「っ…お前、何すんだよ!!」
「ごめーん、手が滑っちゃってさー」
けらけら笑って使い古された台詞を吐くと、さっきよりも釣り上がった目でもう一度睨まれた。
せっかく綺麗な顔してるのになぁ、怒ってばっかでもったいない。
…って、怒らせてるのは俺なのか。
「うわ、びしょびしょ…信じらんねー、初対面の相手に…」
「ちょうどいいじゃん、暑かったでしょ?引越しご苦労様」
いっそ嫌味なくらいの笑顔で言いながら改めて新しいお隣りさんを観察してみた。
長めの髪は流石に暑いのか横の部分だけ後ろで結われ、黒いタンクトップと迷彩柄のカーゴパンツからすらりと伸びた白い手足。
筋肉隆々の大男とかには程遠いけれど、決して華奢な訳ではなくて程よく引き締まっている。
そして指にはゴツめのシルバーアクセ。
いわゆるストリートとかにいそうな今時のオトコノコ。
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