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学校なんてめんどくせー。
センコーの退屈な話聞いて、めんどい問題やらされて、掃除当番だの日直だの…
くだらねーって思ってた。
サボっちまえって考えてた。
てか、実際サボってた。
「ひっかるー!おはよー!」
…コイツに、会うまでは。
朝のざわつく教室、その中でもひときわ明るい声で挨拶してきたこいつ。
同じ体育科2-Bの山吹暁。
自分の席に突っ伏してヘッドホンで最近好きな洋楽を聞きながら半分夢の世界にいた俺は、男にしては少し高めの声で現実に戻された。
「暁、朝からテンションたけーな…」
「えへへー、なんか最近楽しくて」
ヘッドホンを外して目を開けると、そこには明るい茶髪と子犬みたいな笑顔。
床に膝立ちになって俺の机に手をついて、同じ目線で覗き込んでくる暁。
人懐っこい笑顔で、機嫌よく話し掛けられて。
正直、こいつの明るさは俺にとっては眩しいくらいで。
そして、俺が守るべきもの。
一年以上、半ば一方的にだけど俺が守って来た暁。
なのに…
「…そんなに、ソイツがいいのかよ」
「え?」
そう、暁がいつも以上に機嫌がいい理由は、この間暁の隣の家に越してきたという俺らの知らない男のせい。
それ以来、やたら機嫌よく俺らにもソイツのことを話してくる。
本人は無自覚らしいけれど、俺からしたら面白くはない。
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