遠ざかる宝物

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  「なんでもねーよ…それより真おっせーなぁ…」   「そういえばまこちゃんどこ行ったの?」     いつも一緒にいるのにと言われ、別に好きでいるわけじゃない、と返す。 真と一緒にいるのは昔っからの腐れ縁だし、あいつが勝手に着いてくるからパシリに使ってやってるだけだ。     「俺朝メシ食いっぱぐれたから、購買で…」   「光っ!!」     バン!とでかい音を立てて、教室の前のドアが開いた。 そこにいたのは息を切らせた俺の幼なじみ。 黒縁眼鏡と黒い髪の無駄にデカイ地味な奴。     「ひっ、ひか、る…これ、買ってきた…」   「おっせーよバカ、5分遅れたから明日もな」     へたり、と俺の席の所で力尽きた真を余所に、購買の袋を取り上げて開ける。 中には一日20個限定、レーズンメロンパン。 そしてパックのイチゴミルク。     「え、まこちゃんあれ買ってきたの?超レアなのによく買えたねー」   「しかたねーじゃん、光が食いたいって言うんだから…」   「真、文句あんのか?」   「……ないです」     よしよし、今日も俺の下僕は忠実に任務を果たしてくれた。
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