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迷路で彷徨った時に、舞は地面を這ったのだろうか?
そんな考えが二人の頭を過ぎった。
「違うよ!自分の方向感覚の無さに打ちひしがれて何度か地面を叩いたからだよ(orzのポーズで)」
「それも、どうかと思いますが…」
「同感」
スカートが汚れていた舞に二人は首を傾げたが、それ以上に舞の言い分にも首を傾げた。
汚れたままのスカートでは可哀想だと、近くのショッピングセンターへと向かう。
若者向けの可愛らしい洋服がディスプレイされている店に入ると、二人は周りを見渡した。
其々に舞に似合いそうなものを見繕っていく。
「おーい…」
ドンドンと二人の手に増えていく洋服に、舞は顔色を悪くした。
間違いなくこの後に言われる言葉は…
「「試着して(ね/くださいね」」
「…はい」
店の奥にある目立たない位置にあった試着室に向かう。
適当に着て終わりにしようと思ったのだが、二人が許さなかった。
「一着ずつ見せてねー」
「一番似合うものを着ていきましょう」
「…マジか」
「「マジです」」
そして舞は山になっている洋服に頭を抱えたのだった。
「ちょっと丈が短いですね」
「んー、色がちょっとねー」
「形がイマイチですね」
「さっきの方が良いかな」
「上と合いませんね」
「もっと明るい色で丈が短いの無い?」
二人の駄目出しに、舞は頬が引き攣るのを感じた。
いい加減如何でも良くなってきた頃に、やっと二人のお眼鏡に適う服が見つかった。
やっと自由になれる!と、舞が喜んだと同時に、店の店員も胸を撫で下ろした。
舞が試着室に入ってから1時間が経過していたのだった…
黒いプリーツスカートで裾は赤いチェック柄。
細いチェーンが幾重にも、邪魔にならない程度に揺れていた。
「ねぇねぇ、折角ショッピングセンターに居るんだしさ、何か見てこーよ」
「いいですよ」
「記念に御揃いの物でも買う?」
黒龍の何気なく言った一言が舞の気に召したようで、大喜びで頷いた。
いろいろな店を見て回り、何が良いかと頭を悩ませる。
「邪魔にならない物がいいよね」
「私は何でも構いませんよ」
「黒龍さんも何でも良いよー」
そして三人はアレは如何だコレは如何だと店を回った。
そんな時、ふと目に入った店に舞が立ち寄った。
「これ、いいんじゃん?」
「えぇ、そうですね」
「うん、結構いいかも」
顔を見合わせた三人は笑顔。
そして店を出ると満足そうに笑う舞に、青龍と黒龍も笑顔だった。
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