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春、それは長い冬がやっとの事で過ぎ去り、暖かな風と共にやって来る始まりの季節。
桜咲き誇るこの季節は、一人でもいいからほのぼのと弁当を食べながら花見をするのが、2年程前までは僕の日課になっていた。
だが今はそんな事をする暇は皆無に近く、ただ舞い散る桜をチラリと眺めるだけに甘んじている。
何故か正月からこの四月までは本当にアッと言う間に時が過ぎてしまった。
多分仕事があり過ぎてそう思うのだろう。この四ヶ月の間は冬休み、春休みと、学生にとっては楽しい長い休みがある。
もとい僕にとってはそれはちっとも楽しくも嬉しくも無く、ただその分仕事が増えるだけなのだから。
でもまぁその間に少しは周りに変化があったみたいだ。
一番の変化と言えば、小百合が見事にうちの高校に合格した事だろう。
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