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今でも思いだせないが、知樹は髪を染めてる訳でもないし、身長だってそんなに高い訳ではなかった。けど、なんか存在感みたいなものがあった。
「楽しいよ。」
意外な答えに俺は少し驚いた。
そうか、いいな。楽しくて。
そう言い返そうと思った時、俺の答えを待たずに知樹が言った。
「だってさ、一人になれるじゃん。俺、変に構われるの嫌いだしな。」
俺と同じだった。
特に誰が居るから楽しいとかじゃない。
それでも学校に何故か来てしまってる自分に正直で居るための答えは俺も知樹もそれしか持っていなかった。
「おう。」
「オッス!」
俺と知樹はあの日から、休み時間になればどちらともなく非常階段下に集まるようになっていた。
校庭では次の授業の準備だろうか、2年生がジャージ姿で集まっていた。
でも俺と知樹にはなんの関係もなかった。
ただ二人で他愛も無い話をしていた。
一瞬、知樹が緊張したような表情を見せ、俺に問いかけた。
「お前さぁ、彼女とか居るの?」
知樹の口調はいつもと同じローテンションだった。
「いないよ。俺、なんか苦手なんだ、女とか。」
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