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しばらくして、エルザが落ち着くのを見計らって彼女を側に置いてあった椅子に腰掛けさせた。
自分は、電灯をつけて流し台の上に座る。
「どうだ? スッキリしただろ」
「………うん」
腫れた瞼をそのままに、彼女はそう呟く。
カレンは先程彼女から取ったワインを、今度はグラス――と言ってもただのコップなのだが――に注いで一つをエルザに渡した。
「ありがとう」
そう言って、受け取るエルザ。
一口だけ、ちびりと飲む。
「……で、どうするつもりなんだ君は?」
「どうする…って言われても……」
曖昧に答える彼女に、カレンは少し試しを入れてみる事にした。
それは、彼女にとって少々残酷かもしれないが、調度いいだろう。
「なら……別れるか」
返事はすぐに返って来た。
「―――んなわけ無いじゃない! 何でそうなるのよ!」
やっぱり。
まぁ、ここで肯定していたらそれこそ大変なのだが。
少し安心して、カレンは彼女に謝った。
「すまん、こうまで言っとかないと本当に言いそうだったから」
「やめてよ、縁起でもない…」
「だが、この前は実行しようとしてたよな」
「あっ、あれは色々あったから……ちゃんと、後でお互いに謝ったし」
途端に目線が下に落ちて行った。
声のトーンが落ち、憂鬱な表情になる。
「けど………今回は彼の方から謝ってくれなきゃ…」
「ちゃんと来るさ」
「そうだよ…ね」
またワインに口をつける。
しかし、本当にくわえてるだけで飲んでいない。
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