1193人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
肝試しも終わった頃の9月20日に、ゲッソリ痩せた骸骨が車椅子に乗せられて、ガン専門センターに現れた。
少し叩くと全てがバラバラと崩れ落ちそうな、安いキーホルダーみたいな骸骨だ。
手で暗くすると光るヤツ。
その骸骨がやっとのチカラで抱えているのは、前の病院で撮った腹部のレントゲン写真。
骸骨は車椅子の背もたれに寄りかかり、右へ動けば右に。
左に動けば左に…と身体に踏ん張りが効かない。
坂道を登れば、首がすわらない赤子の様にお天道様を見上げる始末。
まるで、ドリフ…
1階の総合案内所でコレコレコ~と事情と名前を言って、VIP待遇で7階に到着。
ベッドに横になり、カーテンを閉められ、青色のお世話にもセンスの良いとはならないパジャマを着せられて、青い服を着た骸骨の出来上がり。
また、違う天井を見る。
前の病院よりも気持ち汚い。
この日から、3月13日まで、
僕は入院をした。
そして、外来診療が始める。
青い服を着た骸骨も、今は70キロの体重になった…
まだ、生きている。
僕はまだ、生きているよ。
最初のコメントを投稿しよう!