ケムリ

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彼女が長野からの小旅行から帰って来たのが、8時前だった。 帰って来るなり、僕に抱きついた。大分、ナガク… がって、惚れられてると勘違いをしてた… 彼女は身体中、善光寺のケムリを浴びて来たらしい… 自由時間1時間30分。 30分以上ケムリの所で立って居たらしい… 服に染み込ませていたらしい…異様だ。 その染み込ませてある服を僕の身体に、染み込ませて彼女は笑っていた。 二重にしてある袋から、僕のお腹へと、少しのケムリがファ~とあたる。 それをやってのけた彼女の顔が可愛かった。 そしたら、6コ年上の彼女はまた、抱きついて来て『治るよ。ケムリをいっぱい浴びたから…』って強くもう一度、ギュッとした。 僕は、彼女の善光寺での行動を勝手に想像した。 30分以上もあんつぁケムリの前に立ち、服に一生懸命に染み込ませて… 前もって準備した袋にケムリを入れて、急いで結び… どんくさいヤツなのに… そんなコト考えてたら、また泣けてきた…ありがとうね… 彼女の健気さがまた、僕に勇気をくれる。 もうすぐ僕はまた無菌室に入る。 6月の初めに… 今度は長い。 そして…ビビってるなり。
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