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真澄は真っ直ぐグラウンドに向かっていた。
グラウンドには、とねりこの木と、桜の木が一本ずつ植えてある。
そしてその二本に囲まれているかのようにある切株。
真澄はその中のとねりこの木に近づく。
すると。
『よー!久しぶりだな真澄!充実した春休みだったか?』
子供の声がした。
すると真澄は不満そうに木の上を睨む。
「また・・・その姿?」
『心は何時までも、若々しくありたいからな』
木の上には、青磁色の着物を着た少年がいた。
「ヨッシー、もう少し歳らしくすれば?」
『ヨッシーじゃなくて、ヨ・シ!』
青筋を浮かべ喜は真澄を指差す。
すると隣の切株を挟んだ桜の木から人が出て来て、とねりこの木にぶら下がった。
それは薄い鴇色の着物を着た女性だった。
「今日和、夜利」
真澄はその女性に微笑みかけた。
それを見て女性、夜利は頷いた。
『今日はどうしたの真澄坊や。何かあったから此処へ来たのでしょう?』
女性は真澄を見下ろして聞く。
「うん。実は俺、生徒会長になった」
『ホントか真澄!頑張ったじゃん!』
喜と夜利は笑顔になる。
「去年の緑化委員じゃ、限度があったからね」
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