「雷」

12/22
前へ
/294ページ
次へ
久しぶりすぎる、衝動だった。 血の香りなんて、忘れ去りたかった。 考えたくもなかった。 俺はまだ冷徹な吸血鬼なのだと。 ――否、まだではない。 死のうが、何があろうが、いつになっても俺は吸血鬼なのだ。 理性が吹き飛んでしまいそうで、ぐらぐらと眩暈がした。 少女の鼓動が、血脈の流れが、手に取るようにわかる。 .
/294ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7186人が本棚に入れています
本棚に追加