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その部屋は仕切りに区切られており、社員の仕事場となっていた。
その部屋の先に、ロビーに通じる階段があった。
私達はロビーに通じる階段を使い、下に降りた。
ロビーは一階から五階まで吹き抜けになっていて、私達は五階に居た。
私は安堵に包まれながら、周りを見渡した。
広いロビーの真ん中にエスカレーターがあり、それを下れば外に出られる。
私達は重症の二人を担ぎ、外に向かって歩き出した。
5m、4m、3m、2m、1m
出口に近付くほど、助かるという気持ちが大きくなっていた。
出口から出ると、上から見た光景が酷くなっていた。
地震の後が生々しく残り、街は瓦礫の山となっている。
現実と考えられないような光景に、皆言葉が出なかった。
「ともかく安全な場所に行こう」
部長が言った。
近くに広い公園があり、そこに向かって歩いた。
しばらく公園に向かって歩いていると、轟音が響いてきた。
振り向くとさっきまで居たビルが、真っ二つに折れて崩れていく様が見える。
無論、その場に居た全員が言葉を無くした。
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