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その頃、墨田区の自宅では・・・。
「余震大きかったね・・・。」
「大丈夫よ。」
不安そうに長女の綾香が言ったのに対して、母が言った。
自宅はしっかりと余震から二人を守り、棚や窓などが散乱しているが原型を留めていた。
今は近くの小学校に避難している。
「健太、今どうしてるのかね?」
母が言った。
長男の健太は中学校に登校したが、長女の綾香は春休みで家に居た。
「携帯も繋がらないし、どこに居るんだか・・・。」
「大丈夫だよ、きっと家に帰ってる途中だよ。」
不安そうに言う娘の気持ちを察して、母が言った。
サイレンが相変わらず鳴り響き、窓から炎の火柱が沢山見えた。
その頃、中学校に居る長男は体育館の外で救助の手伝いをしていた。
校舎の半分が倒壊したが、体育館で授業中だった健太は無事だったのだ。
「おーい、誰か居るか?」
他の生徒と一緒に、返事が返ってこないか叫んでみる。
しかし返事は今の所無い。
「誰・・・か、助けてくれ・・・。」
下から何かが言ったような気がした。
他の生徒と瓦礫をどかすと、教師の山田先生が居た。
急いで引きずり出すと、腕を骨折しているらしく腕から血が出ていた。
救急車の所まで連れて行き、怪我の処置をしてもらった。
空は黒い煙に覆われ、今にも雨が降りそうな感じだ。
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