火災

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音のする方角を見ると、人影が動いたような気がした。 ライトから出る光を抑えながら、そっと近くに寄って行く。 ホームレスなのか、店舗にあるものを持って行こうとしていた。 「こんな所で何をやっているんだ?」 私は聞いてみた。 するとホームレスかと思っていた人間が、こちらに振り向いた。 「許して下さい!」 突然謝りだした。 ライトで照すと、服がぼろぼろだがサラリーマンの格好をした男が立っていた。 私は今までの経緯を話し、自分もサラリーマンだと言った。 相手もこちらがサラリーマンだと知って、ほっとしているようだった。 そして、私と同じように今までの経緯を話し始めた。 どうやら、私と同じように自宅に向かっているようだった。
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