逃げろ!

3/5
前へ
/80ページ
次へ
館内図を確認すると、二階下に非常用の梯子が用意されているようで・・・。 梯子で5階まで降りることが可能だという事が判明した。 しかし、二人が怪我をして自力で降りられない事を考えると、梯子は使えないため別の方法を探らなければならない。 館内図をよく見ると、点検用の通路が書かれておりー。 とりあえず、その通路を目指して我々は歩き始めた。 少し歩いて通路の方まで移動したところで、防火用のシャッターで通路が閉鎖されていることが判明した。 壁にシャッターを開閉するための制御ボックスがあり、ここに鍵を入れて回さないと開かない仕組みになっている。 仕方なく部屋の方に戻り、鍵を探すことにした。 「誰か来てくれませんか?」 そう部下の一人が言ったので、声がしたところへ向かったところ・・・。 30センチくらいの鍵が掛かった扉が付いている、小さな棚のようなものが倒れた机の下敷きになっていた。 我々は倒れた机を退かして棚を移動させた。 すると、僅かに鍵のような物が擦れる金属音が棚の中から聴こえてきた。 「この中にあるかもしれない」 そう私が言うとー。 「この棚の扉にある鍵を、どうやって開けるんですか?」 部下が尋ねてきた。 あいにく、‘‘鍵を取り出す為に必要な鍵’’は持ち合わせていない。 「椅子か何かで壊せばいいのでは?」 他の部下が言った。 私は近くにあった椅子を持ち上げ、鍵に向かって投げつけてみたが・・・。 全く壊れる気配はなかった。 「何か他の物を探そう」 私が言った。 しばらく探した結果、窓枠の破片があった。 破片を扉の僅かな隙間に差し込み、てこの原理で無理矢理開いた。 棚の中には四本の鍵以外に、ライトや携帯などがしまわれていた。 シャッターの所へ戻り、我々は見つけた鍵を全て制御ボックスの鍵穴に差し込んだ。 何本か鍵を差し込んで使えるものを探したところ、一本の鍵が鍵穴にスッポリと嵌った。 その鍵を回すと、シャッターが上がり通路の向こう側が現れた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加