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ただ広いだけの産業道路。
舗装されていない亀裂や窪みに取られるハンドルを必死に握りしめる。
時折ちらつくみぞれ雪は視界を遮り、体温を極限まで下げていく。
爆音・・・いや轟音の排気音が壁に当たり返ってくる。
その音が今日はやけに耳障りで
逃げる様にアクセルを開いていく。
軋むカウリングに身を潜めて目の前のスピードメーターは針が振り切ってる。
それでも追ってくる歪んだ音に
俺は何故だか孤独…そして恐怖を感じた。
あの人のいないこの世界を音にするときっとこんな音なんだろう…
叫んでも叫んでもただの雑音で、逃げても逃げてもおってくるのは孤独だけ。
そんな音を遮る様にウォークマンの音量を上げた。
あの人と色違いで買った古びたMDウォークマン。
MDにはあの人の好きだった曲ばかりを集めたオリジナルMD。
1曲1曲に思い出があり古い記憶とタブる。
『そうだ。この曲は…』
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