刻の流れ

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ボクが唯一甘えられた相手はもう此処には居ないから。 手の届かない遠くへたった独りで逝っちゃったから。 どうして今キミは此処に居ないんだろう。 キミの温もりも、声も、優しさも、もう覚えていないぐらい遠いよ。 それでもボクはまだ動けないで居るんだ。 進んでいるつもりでずっと此処に居るんだ。 先に進まないといけないことも理解しているけれど、動けない。 キミが此処に居ないから。 キミが居ないとボクは何も出来やしないんだ。 臆病で、弱虫で。 前に進むことさえ、怖いんだ。 もう、キミの顔すら刻の渦に呑まれて薄らいでいるのに。
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