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広がる白い光の空間を歩く。
其処には終わりが有るのかという程、壁や天井は見え無い。
ただ広いだけの白い光の部屋。
結構歩いたと思うが、扉も壁も見えて来ず物という物が何も無い。
白い光に照らされて白銀に光る自分の銀髪も彼女を求め歩き続ける自分も影も光も感じられ無い。
自分の意識も彼女への想いも自分の存在すらも
真っ白い光に吸い込まれそうになる。
距離感が、全く掴めない白い空間。
そんな不思議な空間を広大な砂漠を旅する旅人の様に彼女の姿を求めながら
ただ歩き続ける。
するとフワリと淡い花弁が一枚舞った。
俺は其れを掌の上に受ける。
何じゃ…。桜の…花…?
桜が降って来た天井の見えない天井を見上げると、何も無い筈の空間に、桜吹雪の様に降っていた。
其れは俺の先にも降り注ぎ何も無かった真っ白い床に
淡い桜の道標を作った。
其の道を作って尚も降り注ぎ続ける桜吹雪綺麗な景色に魅入られたのか気が付くと俺はその桜の道に踏み出していた。
いや。綺麗だから魅入られたんじゃなか…。
何か。此の桜が俺を導いてる様な気がして
辿って行けば彼女に会える様な確信にも似たような
気持ちが有ったんじゃ…。
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