稲荷の御珠

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『あ~ら♪ また 随分とまどろっこしい事をやってるじゃぁ ないの♪』            この場の緊迫感を削ぎ落とすかのような 素っ頓狂な声が 頭の上から聞こえる          御珠の声だ……               見上げると いつもの だらし無い恰好で フワフワと 宙に浮いている   裸のグラビアアイドルが 子供用の浴衣を 無理矢理着込んだ そんな淫らな恰好が 彼女のお気に入りだ           『いきなり呼び付けるから 何事かと 思って来てみれば……… デートの誘いじゃ 無かったみたいだねぇ』         本気とも 冗談とも取れる 御珠の言葉は 少しばかり 残念そうにも聞こえる  『馬鹿な事言ってないで 手伝いやがれっ!こっちは 外の女にも気を配らなきゃいけねぇんだっ!』           俺が キツク言うと御珠は笑いながら答えてきた            『なぁに 言ってんのさ♪♪あの娘なら とっくのトンマに 猫又どもに運ばせたよぉ♪♪』
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