稲荷の御珠

5/6
前へ
/55ページ
次へ
そうなのだ 御珠は 現場に着くなり 直ぐさま 外に居た妹の「呪」を払い 猫又達に運ばせていた            『仕事の出来る女は 嫌いじゃないぜ』     俺が言うと 少し照れた御珠が 両手に狐火を燈しながら          『んもぅ♪♪素直に好きって 言っとくれよ♪』            そぅ言いながら 狐火を ベットの上で戦う 二体の周りに 円を描いて 散らせた                    『黒っ!!離れろっ!! 御珠の狐火で お前まで 丸焦げになっちまうぞっ!』          俺の声に 待ってましたとばかりに 黒が反応する            『まだ ローストキャットには なりたく ないっすからねっ!!』     黒が離れる瞬間 俺も 念を強めて 女だった物を 押さえ込む                 既に俺の力は ギリギリで もし 御珠が もう少し遅れていたら 黒と二人で 還らぬ猫と なっていただろう                    狐火は 素早く そして優しく 女と 女に取り付いていた複数の霊体を包んでいった……
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加