~第一話~ 女

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俺は猫だ       『猫』て言うか『バケネコ』って奴で この部屋にマスターと二人で住んでる           マスターと言っても 酒やコーヒーを入れる訳じゃない この部屋のマスターだ           ただのオジサン 普通の人間                      バケネコと人間が一緒に住むのがおかしいって?            バケネコに見えないからバケネコなんじゃないか           だから 普段は 縁側や窓辺の日当たりの良い所で昼寝してるのさ    好物は 煮干し 好きなメスもいる 仕事は………            あ…… ちょっと 待ってくれ 自己紹介は 後回しだ 『奴』が いたからな            『奴』ってのは 二三日前から 窓の外を 歩く女の背中で ニヤニヤと イヤラシイ顔で 周りを探ってる『奴』の事さ               見てみなよ 女の方は かなり弱ってる……    かなり生気を吸いやがったなぁ……       あれじゃぁ 女が持たない            『奴』ら に憑かれると……… そうだなぁ… 毎晩 イチダース程 交尾を繰り返したくらい 体力を消耗するんだ        ほっときゃ 死ぬな…… どうする………マスクで 隠れちゃいるが中々の美人だし… 助けりゃ 某かの報酬も 期待出来そうだな…………         やるか??               まぁ ヤルにしても 満月まで待たなきゃ 力も使えんし………                 俺達「バケネコ」は 人の魂を喰らって生きているが 俺は そんな スマートじゃない生き方は好きになれない 飯ならマスターに貰えるし  さして腹も減らない  人の魂の代わりなら  悪霊やら浮遊霊やら いくらでも食えるからな            じゃぁ何故『奴』を見付けて喜ぶかって??             簡単さ 憑かれた相手と契約して 寿命をちょいとばかり頂くのさ   その分長生き出来るし 満足もする                 さてと 女の後を付けてみるか……          ヨシッ!!               マスター ちょっくら 行ってくるぜ 帰りは 遅くなるから 煮干し 忘れないでくれよな
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