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「烏の濡れ羽色」と 言う言葉を聞いた事があるだろうか 昔 烏の羽の色は白かったと言う 烏は孔雀に憧れて 全ての色を羽に塗ってしまった為に 色が混ざり合い 黒く成ってしまったそうだ 九髏の特技は 体の色を変える事だった 羽に反射する光を 羽毛の角度を変えプリズムの原理で 見る者の眼を騙す……違う色と錯覚させるのだ 九髏は この技に長けていた 『力の無い私が 強い者から逃げる為に身につけた技ですから 絶対の自信があります 近くに烏の匂いがあっても 街の中なら自然な事でしょうし この任務 是非 この九髏にやらせてください!!』 自分から名乗り出たのだ 『ねぇ アンタ❤ 九髏… 大丈夫かねぇ…… 結構抜けてるからねぇ』 『あの男なら 大丈夫だ』俺には 九髏が と言うより あの「技」なら 大丈夫だと 確信していた 『確かに 九髏殿であれば確実に吽極の動きを押さえてくれているでしょう』 阿豪も同意見のようだ 『そぅかぃ? アタシには ただの阿呆にしか 見えないんだけどねぇ』 誰も居ないはずの場所から突然声がした 『いやぁ♪♪有り難いっすねぇ♪猫の旦那に認めていただけるなんて』 『早かったな…九髏……首尾は…』 俺だけが気付いていたようだった 二人は辺りをキョロキョロとしながら 九髏の姿を探していたが 「技」を使っていやがった 見えるわけがねぇ 『どこに隠れてんのさ! 出ておいでよっ!!』 御珠は苛々しながら叫んだ 『御珠… お前の上に 浮いてるのが見えねぇのかよ?』 『貴方は見えているんですね!!何故です??』阿豪は目を丸くして俺に聞いて来たが 教えてやるもんか コイツばかりは言えなかった 『旦那に言われた通り やってきましたよ♪ アイツら「星印」を見たら 納得したみたいで 大声で「二本松の丘で待っている」って 言ってましたよ♪』 有り難ぇ そこからなら 月は隠れない 『行くぞ……二本松の丘だ!!』
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