追跡

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まったく……… なんて 足の早い女なんだ    この人混みじゃぁ 付いていくのがやっとだぜ…… あぁ ほらっ ぼやいていたら また離された…… しんどいなぁ……              齢500歳を迎える 俺には 少々 骨が折れる仕事だな……… ん???               ミケじゃねぇか♪♪『おいっ!!ミケっ   違う 違う! コッチだよっ』          金物屋の店先で ウトウトとしている ミケを見付けて 嬉しくなった            このミケって野郎は 「猫又」妖怪って奴だ  人望も厚く 若手の育成に貢献している               『おやまぁ 珍しい 「師匠」じゃぁないか』  『バカヤロウ!!珍しいのは ミケ お前の方だっ!! 飯時に 店先でうたた寝 とはな』                『師匠は どちらへ お出かけで??』                『あの女だよ ほら 背中に見えるだろ?』   ミケの野郎 目玉を真ん丸にして 短い尻尾まで ピンと 立ててやがる   『こりゃぁまた♪♪私にも オコボレくらい 頂けるんで?』      『あぁ くれてやるさっ! で? 集められるかい??』         俺の質問に ミケの野郎目を細めて ニヤリッと笑って答えやがった    『すぐに 追いかけますよ』                    さてと 急いで 追い掛けなくちゃな まだ 角は 曲がっていない…………            走るか………                女は 少し進むと大きな建物の前で歩くペースをおとした                   おっとぉ                   デケエ 部屋だなぁ   なんてったか…… その…… あれだよ 部屋の固まりってぇか 集まりの…… そうだ マンションだ              マスターが 言ってたっけ『高いばかりで ペットも飼えやしない 使えないよ』 つまり 俺とマスターが住める場所じゃぁないらしい         中に入ったぞ じゃぁ 俺も………                  
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