追跡

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『師匠…… 』 誰だっ!           『師匠 私です ミケですよ』         『よう♪ どうだった?…集まりそうか?』   『えぇ ほれ この通り』 ミケの後ろに 十匹程の 猫が こちらを伺いながらそっと 伏せていやがる 『よう♪若造共 助かるぜ じゃぁ行こうか』             『師匠……言いにくいんだが……… その……』 ホントに 苛々する これからって 時に 何なんだ!!         『なんだ ミケ』    『その なんだ………… 入れないと思いますよ… この建物』       『何故だっ! 扉は ここにあるじゃないか!!』すると 八百屋の黒が……           『コイツは「自動扉」って奴で 私らの重さじゃ 開かないんです まぁ 仲間皆で乗れば 開くんでしょうが 普通の猫は こんな小さなスペースに わざわざ重なり合って 扉を開けるような事しませんし』          『そうなのかミケ……』『ハイ師匠 黒の 言う通りですよ コレがセンサー式ならよかったんですが 生憎……』    ミケが 続ける『それに いかにも 怪し過ぎます』 確かに 怪しいな…… そんな猫 この500年 見た事ない……             オヤッ?            『オイっ ミケ 黒 今 2階で 明かりが点かなかったか??』      『その様ですね 女の部屋は 2階のようです どうでしょう師匠 街路樹から飛び移ると 言うのは』            見ると 道の両脇には街路樹が 綺麗に列んで立っている                  確かに小柄な俺には 容易に出来そうだな     『ミケ 街路樹の下で見張りを頼む… 黒は 俺に付いてこい』      黒を連れて 俺は 街路樹をよじ登った                2時間かけて 磨いた自慢の爪が ボロボロになるのを我慢して……    『オィ……黒…… 勝手にスルスルと登ってんじゃねぇよ……』     どうやら 俺は 木登りが 苦手だったらしい……
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