第一章 飴に3秒ルールは通じない

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周りの視線など全く気にすることもなく歩き続ける二人に、大柄な男性が声をかけてきた。       「おーい、クレスにゼノ。 お前達、そんな格好してどうしたんだ?」       それを聞いた金髪の少年は苦笑いしながら答えた。       「あのねぇおっちゃん。俺達今日からファーミリア魔法学院の生徒なの!な、ゼノ?」       ゼノと呼ばれた黒髪の少年は表情を変えずに頷いた。 それを見た男性は、笑いながら頭をかいた。       「なんだそうか!そういやもう入学式の時期だったな。じゃあ、これから学院に行くのか」     「そゆこと。あそこは全寮制らしいし、しばらくは帰って来ないと思うよ」     「クレス、集合時間に遅れる」     「やっべ、マジか!?じゃあおっちゃん、行ってくるー!」       返事も聞かず、一方的に話を切り上げ手を振って走り出す。 露店などで道幅が狭くなった通りを、人込みをかいくぐるようにすり抜け、あっという間に去って行ってしまった。       「あの悪ガキ達ももう15歳か…」       すっかり姿が見えなくなり、一人取り残された男性はそう呟くと、のっそりと歩きだし自分の店へと向かった。
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