第一章 飴に3秒ルールは通じない

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クレスとゼノはあちこちに散らばる生徒達の様子をキョロキョロと見渡した。 背が高い者や低い者、髪や瞳の色、肌の色まで違う者達が集っている。       その中で一つだけ、クレス達の目を引いたものがあった。 普通ならあるはずのない、初めて見るものだった。       「なぁ…ゼノ」     「あぁ、なかなか興味深いな」       二人の中に潜む好奇心と悪戯心。それに逆らうことなく、興味に惹かれた存在に近付いて行った。         透き通るような淡いブロンドの髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、パッチリ開いた目に碧の瞳を宿した小柄な少女、リリア=ファミールは呆れた表情で溜め息をついた。       彼女の隣では、腰まで伸びた真紅の髪に真紅の瞳、そして頭部に左右対象の狐の獣耳を生やした女の子が大皿いっぱいに乗った料理を食べている。       「もうちょっと落ち着いて食べたら?誰も盗らないわよ」     「リリアも知ってるでしょ?魔力を消費するとお腹が減るの。僕は特に!」       女の子だが一人称を僕と言い、ビシッとスプーンを向けて言った彼女にリリアは苦笑いで頷いた。
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