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「綺麗な歌ですね」
突然後ろからかけられた声に、未春は驚いて振り返る。
「総司…」
そこにはいつもの笑顔で
「大切な人」が立っていた。
「こんな時間に…」
戸惑う未春はそこから動けず。
代わりに浅葱の羽織りが、彼女へゆったり近付いて行く。
「僕は学がないので意味はわかりませんが…異国の歌ですよね?」
赤や黄に色付いた葉を楽しげに踏み締める音が未春の前で止まり、問う。
戸惑いながらも未春は頷いた。
そして…気付く。
沖田は新撰組。
異国払いを徹底する、幕府お預かりの身の上。
そんな彼が自分が異国の歌など歌っていたらどう思う事か…
そう思うと自然に面が下がる。
「未春?」
そんな彼女を気遣うように沖田は彼女の肩に触れた。
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