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その手の温かさに思わず口をついた…ひどく子ども染みた言葉。
「怒らないの?」
「え?」
首を傾げる沖田。
「…だって…幕府はメリケンが嫌いでしょう?新撰組も…。だからあたしがメリケン語の歌を歌ってたら怒るかなって…」
目を逸らして早口に、しかしわずかに吃りながら、言いづらそうに続けた未春。
一瞬の間が空いた後、ようやく合点が行ったように沖田は笑った。
「確かに僕達は幕府お預かりの身です。これが真昼の表参道で大声で歌われていたなら僕も黙ってはいられないでしょう」
けど…と繋げながら未春の僅かに強張った頬を撫でる。
「こんな夜中にひっそりと、僕がいなければ聞いているのは紅葉たちだけ…なんてささやかな歌まで取り締まるなんて…僕はそこまで仕事熱心ではありませんよ」
そう言って「うちの副長ならわかりませんけどね」と笑う。
そんな沖田につられる様に未春の表情も幾分和らいだ。
「それに…」
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