紅葉映ゆる頃

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「僕は今、新撰組の一番隊組長として此処にいるんじゃありません」 肩に触れた指をそっと降ろして、その先の細い手を取る。 「貴女を想う一人の男、沖田総司として、此処にいるんです」 そして、その指先に口づけた。 「総司…」 指先との僅かな触れ合いにも分かる総司の唇の熱に、未春の瞳が揺れる。 「もう気づいているでしょう?」 強い瞳がその揺れすら射止める様に。 「僕が貴女をどうしようもなく愛してしまっている事に。」 「…っ…ぁ…」 強く、強く抱きしめた。 細い身体を蝕む痣ごと、全て。
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