100人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんたはもう一度会社に電話してみて!」
女性は男性を見て言った。
「あ、ああ。」
男性は携帯を出した。
「もしもし、一時間前位にエレベーターが止まったって連絡したんだが…。停電だから勝手に直るとか言われたが、まだ動かないんだ。故障なんじゃないか!?とにかく早く来てくれ!生まれそうなんだ!え?何がって、エレベーターの中で生まれそうなんだよ!」
男性が携帯に怒鳴る。
また腰と下腹部に痛みが襲う。
「ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。痛いー!」
呼吸法をしようとしても上手に出来ず、痛いと叫びたくなる。
「よしよし、腰はここが痛いのかい?」
女性は私の腰をさすった。
「もう少し下!」
私は叫ぶ。
「はいはい、ここかい?」
女性は少し下をさすった。
私は頷いた。
「だから、一時間前も言ったけど、中津のコーポ那須だって言ってるだろ!は?一時間位かかるって?ふざけんな!こっちは緊急なんだ!救急車?レスキュー?わかった、とりあえず電話してみる。そっちも急いで来いよ!」
男性は携帯を耳から離した。
最初のコメントを投稿しよう!