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「夕方の渋滞もあって一時間もかかるらしい。とりあえず救急車に連絡してみろって言われたから連絡してみる。」
男性は女性を見て言った。
女性は頷いた。
プルルルル。
男性の携帯が鳴る…。
「くそ、こんな時に!」
男性は携帯画面を見ながら叫んだ。
「もしもし、はい、すみません…。まだ閉じ込められてまして。はい、はい、申し訳ありません。はい、すみません、はい、はい失礼します。」
男性は扉に向かって頭を下げながら話した。
そしてすぐにダイアルしてまた電話をかけた。
「あ、もしもし、今エレベーターに閉じ込められてて、生まれそうな人がいるんです!」
男性は早口で言った。
「痛い…。腰を…。」
私は自分で腰を押さえながら言った。
「ここかい?さっきより大分下だよ。」
女性は言った。
「ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。」
私は横になったまま痛みに耐えた。
「はい、管理会社には連絡しましたけど来るまで一時間かかるって。はい、いや、俺と婆さんがいます。婆さんが腰をさすってます。はい、確か九ヶ月て。はい、今ですか?ちょっと待って下さいよ。今何分間隔かって。」
男性は女性に向かって聞いた。
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