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大分大きくなったお腹を支えながら、エレベーターに乗った。
夕食の材料を買いにいかなければならない。
と言っても私一人分を作るのも億劫だ。
しかし、外食は塩分が多く、なるべく自炊しなさいと言われている。
こないだの検診で血圧も上がっていたらしいし…。
体重も増えすぎと言われているから、運動がてらスーパーまで毎日歩いている。
エレベーターはなんだか苦手。
一人も心細いし、誰かが乗ってきても気まずい…。
でも階段は駄目と言われているから仕方ない。
ガタン
四階でエレベーターが止まる。
扉が開くと、中年男性と六十代位の女性が乗ってきた。
二人共、私の膨らんだお腹をチラリと見た。
私は右奥に下がり、女性は左奥に、男性はボタンの前に立った。
気まずい沈黙が流れる。
でも、男性と二人きりでなくて良かった。
男性と二人きりになる時が一番構えてしまう。
赤ちゃんが私の胃を蹴るのを感じながら、私はお腹をさすった。
「今、何ヶ月なの?」
女性が私のお腹を見ながら言った。
私は女性の顔を見た。
「九ヶ月です。」
と微笑みながら返した。
「そう、あと一ヶ月…」
ガタン
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